4:猫宮[saga]
2012/07/05(木) 18:26:56.66 ID:ffqtBWew0
本当に光の戦士だったりして……、
ってちょっとだけ本気で考えながら、私は恐る恐る振り返ってみる。
そこにはまた私と同い年くらいの……、
でも、さっきのカチューシャの人とも黒髪の人とも違う女の子が首を傾げて立っていた。
まとめるには少し短めの柔らかそうな髪をリボンでポニーテールにした女の子。
家庭的な女の子っぽい服装や穏やかな表情から、何処か優しそうな印象を受ける。
多分、本当に優しい性格の子なんだろうと思う。
いやいや、そんな事は今は関係無かった。
光の戦士とか関係無さそうな子でよかったけど、私はこの子を知らなかった。
見かけた事もないはずだから、確証は無いけど同じ学校でもないと思う。
でも、だとしたら、知り合いでもないこの子が、私に何の用事があるって言うんだろう……。
瞬間、その子が急に私の両手を取って、急ににじり寄った。
拳二つくらいの至近距離で、私とその子は見つめ合う事になった。
な、何……?
どうしてこの子は私の手なんか握ってるの……?
気圧されて胸が強く動悸するのを感じながら、私はどうにかその子に訊ねてみる。
「な、何……? 私に何か用なの……?」
「よかった……」
「えっ?」
「やっと……、会えた……」
「何の話……?」
「あの……、すぐには信じてもらえないかもしれないんですけど……、どうか私の話を聞いて下さい。
いいですか? 驚かずに聞いて下さいね……。
どんな願い事でも一つだけ叶えられる一生に一度のチャンスが、貴方にやって来たんです……!」
「……はっ?」
私が若干呆れた声を出すと、そのポニーテールの子は恥ずかしそうに少し目を伏せた。
どうやらその子も自分が荒唐無稽な事を言ってる事には気付いていたらしい。
片方は事態を全く分かってなくて、もう片方は照れた顔で目を逸らしていて……。
冷静に考えなくても、何だかとても間抜けな出会いのシーン。
とても間抜けだけど、それが私とその子の始まり……。
これから私とその子の何かが始まるんだ、って、何故か私もそれだけは確信出来ていた。
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