過去ログ - 勇者「王様が魔王との戦争の準備をしている?」
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953: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:17:32.21 ID:wBktaGLT0
 いや、何よりも人外なのは、二人の凄絶なまでの意志。あそこまで体を傷つけても、私たちを倒さなければいけないと思える精神が、すでに人のものではない。そして目的は自分たちのためではないというのだから驚きだ。

 誰かのために、ましてや国のために全身全霊を捧げられる人間が、どれほどいるというのか。
 そんなのいるはずがないと思う。思った。思っていた。事実、私はずっとそうだった。ずっと私の娯楽のために全身全霊を捧げていて、それ以外は知ったこっちゃなかったのだ。

以下略



954: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:18:15.89 ID:wBktaGLT0

 四肢はまだ固定されている。かなり頑丈な封印だ。濃縮された固定の陣地。やはり、あの二人はどっちもかなりの手練れらしい。
 だけど。

アルプ「私の衝動を止められるなんて、馬鹿言っちゃだめだってば!」
以下略



955: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:18:51.89 ID:wBktaGLT0

 火炎が手のひらに集まっていく。

「全軍、よぉおおおおおおおおおい!」

以下略



956: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:19:54.97 ID:wBktaGLT0

 高射砲撃が九尾を狙う。同時に打ち上げられた数人の魔法戦士が足元に起動力場を生み出しながら、それを蹴って九尾へと迫った。
 二人の首が一瞬にして落ちる。それでもあちらに戦意の喪失は見えない。寧ろ発奮を促したかのようだった。

アルプ(そうかい、そこまで私らは、敵ってことかい)
以下略



957: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:20:45.68 ID:wBktaGLT0

 毒霧の噴霧。羽ばたきながらそれを全体に拡散させていく。高射砲撃をなんとか回避しながら。

ルニ「ぐっ……」

以下略



958: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:21:26.94 ID:wBktaGLT0
 炸裂。

 大量の肉片が長い滞空時間を得て、ぼたぼた降り注ぐ。

九尾「き、さまぁ……!」
以下略



959: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:21:58.64 ID:wBktaGLT0

ビュウ「ポルパ! そっちはどうなってる!」

ポルパ「今のバギクロスで負傷者多数! でも、死んだ奴は少ない! まだいける!」

以下略



960: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:22:38.44 ID:wBktaGLT0

アルプ「燃えて狂って死んじゃえ!」

 眩惑の炎を投下する。
 それはれっきとした炎だけれど、焼くのは肉体よりもむしろ精神。じりじりと蝕むように、相手の心を焦がしていく。
以下略



961: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:23:33.43 ID:wBktaGLT0

 衝撃を体が襲う。不時着ではあるが、チャームで全てを誤魔化して、敵軍の中央へと落下。周囲数メートルの兵士が肉片と化したのがわかる。
 降り注ぐ血液と肉片の驟雨の中を、私は一息で加速した。チャームと炎を振りまきながら、ただひたすらに同士討ちを狙う。
 制御を失った頭上の氷塊が落下し、人間を、そして私の羽を穿った。もう空も飛べない。逃げることはできない。

以下略



962: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/03/13(水) 11:24:08.92 ID:wBktaGLT0

 これは決して懺悔なんかじゃあない。私は九尾に許してもらいたくて、申し訳なくて、だからこんな特攻をしかけているのでは、決してない。
 これは純粋な善意なのだ。私が善意だなんて、ちゃんちゃらおかしい。所詮衝動の前でははかなく消えてしまう灯のくせに、確かにその感情は、私のこのクソみたいな魂の中に息吹があるのだ。

 胸を掻き毟りたい。そうして心臓を抉った先に、私の許されざる魂があるはずだ。それさえなければ、もしくは感情さえなければ。
以下略



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