過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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260: ◆YHxtVKAHbw[sage saga]
2012/08/06(月) 18:51:46.64 ID:DufMtpvzo
「大事なもんなんだろ? 返すから、ちゃんと受け取れ」
「だ、だから、あたしのじゃ……」

 あれ? 違うのか? さっき俺の手から奪おうとしていたのだが。

 まあこのブツが、この家の誰のものでもないと言う事が分かっただけでもいいか。

 どういう経緯で我が家の玄関先にあったのかという謎は残るが、これ以上妹と口論していても埒があかないな。

「悪かったな、俺の勘違いだった。コレがおまえのもんじゃないってのは、よく分かったよ。誰のなんだかしらないが、俺が持っててもしょうがねぇ。なんか忘れ物したような気がして戻ってきただけだから、コンビニ行くついでにそこのゴミ箱に捨ててくるわ。お袋のアイスも買わないといけないし」

 基本、コンビニのゴミ箱はゴミの持ち込みは禁止なんだけどな。

「あ、あの……!」

 部屋から出て行こうとした俺に桐乃が声をかけてきた。
 俺は首だけで振り返り、

「なんだ?」
「そ、それ、あたしが……捨てておくから……」
「いや、コレが万一お袋に見付かったら、この家でこういうもんを持っていそうな人間って消去法で俺ってなってしまうじゃんかよ。変な疑いかけられる前にこの家から出してしまったほうが安全だからいいわ」

 そう言って、俺は部屋を出た。
 階段を降り、玄関ではなく勝手口に行き、靴を履いて出て行こうとしたところで、

「あのさ……」

 超ビックリした。
 いつの間について来てたんだ、この妹は?

「コンビニだったら、あたしが行ってくるから……。ハーゲンダッツの季節限定のやつ……だよね……?」
「お袋のアイスだけじゃなく、俺の買物もあるし、」
「そ、それも、買ってきてあげるから……。その……さっきのアレもあたしが捨ててくるし……」

 さんざん俺のこと無視して嫌いなはずなのに、どういう風の吹き回しだ?

 まあ、俺の買物までしてくれるって言うんだから一応礼くらいは言っておくか。

「サンキュ。でもな、こんな時間に女子中学生のお前を買物に行かせたなんて親父にでも知れたら、俺が怒られてしまうわ。気持ちだけ受け取っておくよ」

 俺は桐乃に軽く片手を上げて見せてから勝手口の扉を開けた。

 背後から「あ……」と桐乃の小さな声が聞こえたような気がしたが、気のせいだろうと外への一歩を踏み出す。
 が、俺の足はそれ以上進まなかった。

 桐乃が俺の服の裾を握り締めていたのだ。

 振り向いて見ると、桐乃は若干青ざめた、思い詰めた表情で俺を見ていた。

「どうしたんだよ、おまえ? さっきから様子がおかしいぞ?」
「お……おにい……あに……き……。ちょっと話があるの……」

 兄貴、か。

 桐乃の俺に対する呼称は元来『おにいちゃん』だった。
 しかし、全く話をしない期間が続いたので、いまさらそう呼ぶのも照れくさいのだろう。

「今じゃないと駄目か?」
「今でないと……ダメ……なの……」
「しかしなあ……」

 ここで時間食ったところでコンビニは逃げたりしない年中無休二十四時間営業だけど、今度は俺の睡眠時間が圧迫されてしまう。

「一生のお願い……」

 やっぱりまだまだ子供だな、こいつは。
 気安く『一生のお願い』なんて言葉吐けるのは子供だけの特権だからな。
 俺だってガキの頃は数え切れないほど言っていたし。

「分かったよ。なんだ? 話してみ?」
「ここじゃ……ダメ……。あたしの部屋に……来て……」


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