過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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855:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/10/11(木) 23:13:02.29 ID:UgVSypyPo

気が付けば、田村屋の前だった。
黒猫が告げた言葉の真意なんて、今の俺には分からねえ。
単なる気まぐれかもしれんし、それを黒猫に確かめる程の勇気も俺にはない。
俺はかぶりを振って、くだらない妄想を打ち払った。

田村屋の店の裏側に回ると、そこには母屋へと繋がる門がある。
格子戸を潜り抜けると、良く手入れの行き届いた庭には、きれいな玉砂利が敷き詰められている。
特に広い庭というわけでもないが、苔むした岩が適度に配置され、玄関先までは飛び石が敷かれていた。
和菓子屋に相応しい純日本庭園だ。

「麻奈実んちの庭って、いつ見てもいいよな。俺の理想っていうか、これぞ日本人っていうか」

「う〜ん、そうかなぁ〜。でも、今日みたいな雨上がり、わたしは好きだよ」

飛び石を伝い玄関に着くと、軒下の傘立てに傘が一本差してあった。

「お客さんが来てんじゃねえのか?」

「えっと、確かお母さんのお友達が来るとかって言ってたかなぁ」

「まずかったんじゃねえの? 俺は、別に今日じゃなくってもいいんだぜ」

玄関の引き戸を麻奈実が開けると、お香の香りが家の中から仄かに漂ってくる。
店に置かれた香炉で焚いているわけだが、長年のことで家中に香りが染み込んでいた。

「ううん、だいじょうぶだよぉ〜」

「まぁ、麻奈実がいいっていうんなら、俺は構わねえけどさぁ」


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