過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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860:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/10/11(木) 23:15:14.75 ID:UgVSypyPo

麻奈実が不思議そうな顔をしたまま、俺に向かって手を差し出した。

「ほら、麻奈実にこれやるよ」

俺は庭先に咲いていた紫陽花の、葉の上にいたカタツムリを麻奈実の手のひらに乗せた。
いつも、にへら〜としたゆるい顔の麻奈実の表情が、見る間に蒼ざめていった。
麻奈実はカタツムリを見詰めたまま身体が固まっちまって、全く身動きが取れねえ。

ガキの頃にありがちな、本当に他愛もないいたずら。
しかし、麻奈実が見せた反応は、当時の俺の予想を遥かに超えたものだった。
怒るわけでもなく、大泣きしたわけでもない。
麻奈実はその場に立ち尽くし、蒼ざめていた顔が真っ赤になり、目から涙を溢れさせた。

「麻奈実、……ごめん、俺そんなつもりじゃ……」

「……」

麻奈実は、足元にできた小さな水溜りを呆然と見詰め、
羞恥心に打ちのめされた表情で俺の顔をチラリと見ると、無言で踵を返し歩き始めた。
……麻奈実はその日、保育園を欠席した。

子供心にも罪悪感を感じた俺は、その日の保育園の帰り道、例の家に立ち寄った。
その家の人にお願いして、紫陽花を一株だけ分けてもらったんだ。
昼過ぎから再び降り始めた小雨の中、麻奈実んちに着いた俺は、爺ちゃんに麻奈実を呼んでもらった。
しかし、麻奈実は決して俺に会おうとはしなかった。


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