過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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861:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/10/11(木) 23:15:40.87 ID:UgVSypyPo

朝の出来事を爺ちゃんに話すと、「きょうちゃん、あとはこの爺ちゃんに任せろ」と優しく言って、
馬鹿な俺の頭を撫でてくれた。爺ちゃんに頭を撫でられ、それまで我慢していた俺の目から涙が溢れた。
俺は、泣きじゃくりながら紫陽花を爺ちゃんに手渡した。

翌日の朝、麻奈実はいつもの待ち合わせ場所で俺を待っていた。
俺が昨日のことを謝ると、麻奈実は、にへら〜と、いつものよう笑って全部許してくれた。
そんな出来事があってから数年が経った梅雨のある日のこと、
麻奈実んちで遊んでいた俺は、庭先に数株の紫陽花が咲いていることに気が付いた。

「なぁ、麻奈実のところに紫陽花なんてあったっけ?」

「おじいちゃんがね……植えてくれたの。
 今はあれだけしかないけどぉ〜、もっともっと増えるんだってぇ〜」

俺と麻奈実は、同じ学校へ通う高校三年生になった。
あの日のたった一株の紫陽花が、今では麻奈実んち庭で、その存在感を示すように咲き誇っている。
紫陽花を見るたびに想い出す、懐かしくもほろ苦い俺の大切な想い出だった。

透明感のある鮮やかな赤紫色、まるで庭に咲く紫陽花をそのまま摘んできたようだ。
俺と麻奈実の幼い日の想い出が、長い年月を経て、菓子の形に姿を変えて目の前に現れたようだった。
何だか、このまま食っちまうのがもったいねえ。

「きょうちゃん? どうかしたの? ずぅ〜っと、お菓子を見つめちゃったりして」

「いや、なんだか食うのがもったいなくてな。爺ちゃん、この菓子にどんな名前を付けたんだ?」

俺が笑いながら麻奈実を見ると、麻奈実は俺の背後にある襖を見ていたようで、顔からは笑顔が消えていた。

「……えっ!? きょうちゃん、いま何か言った?」


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