過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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873:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/10/11(木) 23:23:20.03 ID:UgVSypyPo

チケットを手に持ったまま、あやせは、自分の傘を無視して俺の傘に入ってくる。
あやせは同じ歳の女子中学生と比べても背が高い。今、俺の目の前にはあやせの顔がある。
ふわぁ〜と、あやせから良い香りが漂ってくるのがはっきりと分かる。

「――と言うことは、わたしがこれを観に行けるのは……
 今度の土曜日は撮影があって都合が悪いので、日曜日だけなんですよ。
 それに学校の校則で、生徒が一人で映画館なんかに行ってはいけないんです」

学校としての立場上、生徒がそういったところに出入りするのを問題にするのは当然のことかもしれん。
だが、今の俺にとって問題なのは、毒ガスよろしく石鹸の芳香を撒き散らせているあやせだ。
少し首をかしげながら潤んだ瞳で俺を見る、あやせ本人だ。

「高校生のお姉さんかお兄さんが、保護者として付いて来てくれればいいんですけど……」

換気扇じゃあるまいし、ずっと息を吸い込み続けるわけにもいかねえ。
そうかと言って、鯨みたく吸い込んだ息を何十分も止めてられるもんでもねえ。

「……お兄さん、なんだかさっきから鼻息が荒くないですか?」

「い、いや、気にしないでくれ。……鼻の具合がちょっとな、花粉症?」

まるで拷問。
憧れのあやせが目の前にいる状況で、俺の両手は自分の傘とあやせに持たされた傘で塞がっている。
それを知ってか知らずか、あやせは更に俺に一歩詰め寄って来た。

「もし、校則を破ってわたしが一人で映画を観に行って、
 たまたま男の人にナンパされても、それはわたしの自業自得ということなんですよね?
 この映画ずっと前から観たかったんですよね〜。でもでも、変な男の人にナンパされたら怖いしな〜。
 あっ、お兄さん、わたしの独り言ですから別に気にしないでくださいね」


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