26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:00:55.27 ID:5GufPHXCo
 『あ、風邪のせいで声が出ないんですっけ。 
 じゃあこれから質問するんで、 
 イエスなら一回、ノーなら二回受話器を軽くたたいてください。 
 それでいいですか?』 
  
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:01:46.23 ID:5GufPHXCo
 『はい。じゃあ…給与の振込はもう済んでますか?』 
  
 トン。 
  
 『今月分の伝票の処理はあらかた終わってますか?』 
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:02:16.66 ID:5GufPHXCo
 『?何か困ったことでも?』 
  
 トン。 
  
 『…食べ物がないとか…ですか?』 
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:03:06.74 ID:5GufPHXCo
 『…とりあえず、困ってることがあるんですね。 
 じゃあ今日は予定もないですし、帰りに寄ってみます。 
 住所はこちらで調べておくんで。近くまで行ったらまた電話入れます』 
  
 それじゃ失礼します、と電話が切られた。 
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:04:10.78 ID:5GufPHXCo
 男性を自分の家に招くなど初めての体験だ。 
  
 しかも雑談を交わすような間柄でない男である。 
  
 おととい掃除したばかりなので部屋はよしとしよう。 
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:06:08.23 ID:5GufPHXCo
 夜六時過ぎにプロデューサーはやってきた。 
  
 結局、メイクも服も室内で着ていて無理のない範囲のものになった。 
  
 プロデューサーはというと、いつも通り 
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:08:03.53 ID:5GufPHXCo
 革靴を脱いで、プロデューサーは言った。 
  
 「声、本当に出ないんですね。 
 でも顔色はいいみたいで何よりです」 
  
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:08:36.09 ID:5GufPHXCo
 「あぁ、そういえば困ってたみたいですけど、どうしたんですか」 
  
 こちらを振り返ってあまり関心なさそうに言う。 
  
 あくまで会社の人間と事務的に会話している風だった。 
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:15:07.81 ID:5GufPHXCo
 [お医者さんに、声が出ない原因は風邪じゃないっていわれたんです。 
 精神的な理由からかもしれないから、心療内科に行ってみたらって] 
  
 「…ああ、身体表現性障害ってやつですね」 
  
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:17:34.22 ID:5GufPHXCo
 [プロデューサーさんって物知りなんですね。尊敬しちゃいます。] 
  
 普段言わないようなこともホワイトボードだとかけてしまうから不思議だ。 
  
 「尊敬しなくていいですよ。どうせただの観客ですしね」 
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/07/27(金) 21:20:16.39 ID:5GufPHXCo
 「なるほど、電話できないから俺を呼んだんですか。 
 ここに電話すればいいんですね。予約はいつにしましょう」 
  
 ディスプレイを見るプロデューサーをぼんやり見つめていたことに気付く。 
  
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