過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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13:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/08/11(土) 02:13:42.31 ID:9RA2XFou0
>>12

 ×     ×

「?」

想が、机から半身を起こす。どうやら居眠りをしていたらしい。
余り縁の無かった酒の席、それによる深夜帰宅が続き、
今日も定時退社ではあったが、勤務中はタブレットを手に作業場を駆け回り確認に追われる日だった。

帰宅してからは、夕食まで少しやりかけの数学に取り組んでいたのだが、
その世界に入り込む前に睡魔に敗北したらしい。

そして、何か珍しい物音が彼を揺り起こしていた。
再びノートに集中を向けた想は、今度こそ立ち上がった。
これは、生活音とは言わない。元々、このアパートは年季の割には防音がいい方だ。

 ×     ×

「水原さんっ!?」

ノックと共に聞こえた余りにも懐かしい叫び声が、水原可奈を虚脱状態から引っ張り出した。

「燈馬さん?」
「こっち、入ってなさいっ」

炬燵の中に死体を引きずり込んだ可奈は、
同じく引きずり込む様に娘の美里を隣の部屋に引っ張り込む。
さっさっと手櫛を入れて玄関に向かう。

「はーい」
「水原さん」

気合いで笑顔を顔に張り付けながら、可奈はチェーンのかかったドアを僅かに開く。
長年の客商売の賜物だと思う。

「あの、水原さん。今凄い音が」
「あー、うん。ゴキ、ゴキにゃんがぶーんて飛んじゃってぺろぺろしてさ、
ほらうち女所帯だから大騒ぎしてごめんなさいねー」
「このアパート、ゴキブリ出ませんよ」

その瞬間、可奈はすとんとその場に座り込んだ。
駄目だ、絶対終わった、この時点で完全に詰んでる。
その事を誰よりも知っているのが水原可奈その人だ。


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