過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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187:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/09/28(金) 04:13:14.37 ID:k287Jim90
>>186

店内に、バシーンと会心のいい音が響き渡った。

「次は無いからね」
「すいませんでした」

想がもう一度深々と頭を下げ、可奈はカウンターの中の冷蔵庫冷凍室から取り出した氷嚢を想に渡す。
柔らかいが範囲が広く、何より勢いがある分杖の一撃と甲乙付けがたい。
そして、可奈はそのまま休憩室らしき小部屋に引っ込んでしまった。

「水原さん?」

想は、氷嚢を頬に当てながら、手近なテーブル席の椅子に掛けていた。
その内、小部屋から出て来る気配がする。

「水原、さん」

想は、言葉を失った。
濃い紫色でドレスアップした可奈が、蓄音機のレコードに針を乗せる。

「燈馬君の人徳よね、こんないいの貸してくれたんだから」

呆然とする想の前に、可奈が立っていた。
そして、アメリカでも公開、リメイクされた有名な日本映画のタイトルを口にする。
想は、こっくり頷くとその、差し出された白い柔らかな手をその手に取って立ち上がる。
優美なクラシックと共に、互いに一礼して動き出す。

想の場合、少々複雑な略歴により、アメリカ育ちでもプロムと言う歳でも無かったが、
再度の大学生活で当時の友人と共にこういう集まりに参加した事はあった。
あの国では文字通り会議は踊る踊る会議も仕事の内で、やはりその延長で
気晴らし的な私的なダンスに付き合った事もある。

だが、こうしていると改めて思う。
かつてもそうしながらも自分が求めていたのはただ一つ、この時間だったのだと。
少々夢心地を覚えながら想はパートナーに視線を向ける。
ドレスアップした、匂い立つ魅惑の女性がそこにはいた。


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