過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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223:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/10/19(金) 14:53:21.58 ID:uJWzfwxa0
>>222

「うん。昔の癖で最初に薄気味悪いから撮影しておいて、
こんなものとっておきたくなかったんだけど、まだデータ残ってたから」

写真に写っているのは上質紙を畳んで作った封筒、表面には「水原可奈様」と印字されている。

「あなたが頻繁に会っている男性の素性を突き止めた。
あなたに聞きたい、この男性とはどういう仲なのか。
もし恋愛関係にあるというのなら、それはとんでもない裏切り行為である…」

姫子が別の写真に撮影されていた無機質な印刷文字を読み上げていると、
不意に、茶の間からガタッと言う音が聞こえた。
そちらでは、部屋に戻ろうとしていた美里が部活動のラケットを取り落とし、蹲っていた。

「そして、デート現場の盗撮写真、こういうものは他にはあったの?」
「もっとあった。手紙も写真も何回も。だけど、気味が悪いから捨てた、写真も撮ってない。
写真を撮ろうって思い付いたのが前のを捨てた後に来た時だったから」
「あなたはどう思ってるの?」
「どう、って?」
「今現在の私の依頼人に就いて尋ねるに当たって、
家族以外にあなた以上の適任者がこの世にいる筈がありません」

自信たっぷりに断言する姫子に可奈の口元が綻びそうになるが、
すぐに可奈は下を向き首を横に振った。

「分からない」
「分からない?」
「ストーカーの事は、ちゃんと話付けて燈馬君も謝って、それで終わると思ってた。
燈馬君が人を、殺した、あいつを、もしかしたら私のために、そんなの、理解出来ない」

「ざっくり聞くわよ。あなたが頼んだとか、いや、教唆じゃなくても
ほのめかしたとか愚痴をこぼしたとかなんでも、そういう事は無かった?」
「無い。だって、燈馬君とあの男、富樫慎二の事を話したのは
殺されて新聞に出たのが初めて、本当なの」

ふと、姫子は蹲ったままの美里に視線を向けた。
彼女も任意で事情を聞かれたと言う。先ほどからの話ではかつては富樫慎二のDVに晒され、
そして殺人事件の事情聴取でもその事を聞かれた筈。精神的に大きな負担となっている筈だ。
気が付いた時には、姫子は美里の視線を追っていた。
そしてはっとする。可奈が油断無くこちらを伺っていた。


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