過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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燈可奈弁X
◆WxhrC2Qhtw
[saga]
2012/11/02(金) 15:58:42.94 ID:aEGHdTkt0
>>262
× ×
気が付くと、ここに来ていた。
目を覚ました時、普段の可奈の日常を考えると結構な時間になっていた。
「完全にアウト、か」
水原可奈はベッドの上にすとんと座って嘆息した。
まとっていた浴衣を放り出し、ユニットバスに入ってシャワーを浴びる。
ここに来た事は覚えている。途中の夕食は狸蕎麦だったと思う。
思い浮かぶのはそれぐらいだ。
この高台のホテルを訪れ、チェックインしてシャワーを浴びて、
気が付いたらベッドで眠り込んでいた。
シャワーを上がり、時計を見てもう一度嘆息する。
ベッドに仰向けに倒れ、大の字になる。
お話しにならない時間だ、下手をすると捜索願を出されるかも知れない。
高校までは随分ルーズだったと思うが、そこから先はそんな事をやっていられる状況ではなかった。
それが文字通り命に関わる日々。そんな一日一日の積み重ね。
身に染みて知って来た事、信頼は一日にして成らず一日にして崩壊する。
可奈は苦笑を浮かべる。そう、一日にして崩壊する。
それなら、最も大切な信頼はとっくに崩壊していた。
かつて朝の閉門を済ませた高校の塀を乗り越えフリークライミングしていた水原可奈を
勤勉ならしめた最大のモチベーションの源は、可奈の掌からこぼれ落ちた。
だからこんな事が出来る、こんな朝を迎えたのだと思い当たると、又、涙が溢れそうになる。
顔を洗う。もう少し時間はありそうだ。
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