過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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81:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/08/29(水) 02:35:08.97 ID:7OWLv8JO0
>>80

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「こんにちわー」

燈馬優は、合鍵で玄関ドアを開けて燈馬想のフラットに立ち入った。
この日、優は想にこの自宅訪問、そもそも来日自体を報せていなかった。
アメリカ在住の優は、本当は両親と共に別の予定が入っていたのだが、
よくある日程トラブルで一人別行動をとる事になり、
それならと勝手知ったる兄の部屋を訪れていたのだから、実際合鍵で入った様に留守でも当然。

「想、又出かけたのかなー」

気配の無い玄関廊下を進みながら優が呟く。
思えば何年前になるか、兄の想が日本の高校に進学したいと言い出した。
両親はその辺自主的な判断に任せる人だし、優から見るなら、
そのまま、今まで通りの流れでドクターコースに進むだろうと普通に思っていたので意外ではあった。

だが、想よりは社交的と言える優としては、
それはまあ共に思春期の兄妹として年相応の学校を経験したいと言うのも理解出来る選択だった。
とは言え、元々アメリカでも主に年齢不相応の環境と更に飛び抜けた才能、
そして飄々と理性的に交わすその性格がしばしば彼を悪意のただ中に置いた。
実際、妹の優ですらかつては割り切れない感情を抱いていた。

そんな想が、その帰国子女泣かせの閉鎖性がアメリカの日本人社会にも聞こえている、
日本の普通の学校に行くと言う選択は。優にも小さからぬ不安を抱かせた。

当の想はと言えば、いつも通りそんな事は歯牙にも掛けずに日本の高校に進学し、
優が会いに行った時には、そんなクールにして天然な兄貴には実にお似合いの
元気な相手を見付けてちょっと妬けるぐらいに青春を謳歌している有様だった。

そんな想、そして優もすっかり仲良くなった水原可奈もそろそろ次のステップを考える季節。
その前に、今までにも増して二人で、と言うか引っ張り回されていても不思議な事ではない。

両親にも負けないぐらいワールドワイドな規模で動き回っている二人なのだが、
よくよく考えて見ると、二人で動き回ってると言う事は、であって、
そしてそろそろ二人にとっても節目の時と言う事は、なんぞと
どうしても思春期後半に相応しい想像に片足突っ込みながら、
普通はリビングである実質は書斎に入った時、優の足が止まった。


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