過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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93:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/08/31(金) 14:58:29.91 ID:kOOSaGzk0
>>92

「ちょっ…」

自分が理解している何パーセントを大きく逸脱した行動に驚きの声を上げたエバを、
ロキが腕で制する。その口元は嬉しそうに緩んでいた。
時々消したり付け足したりしながら図形を線で繋ぎ、数々の計算を書き連ね、一区切りして振り返る。
ロキは、そちらに向けてひゅうっと口笛を吹いて親指を立てた。

今までの書き込みを消した女性は、黒板に別の数式を書き連ねた。
不敵な笑みと共にのっそりと動き出したロキが、黒板前で彼女とすれ違いその続きをさっさと書き込む。
ロキの手が止まり、エバの前で二人の視線がぶつかり、女性は小さく頷いた。

ロキが、黒板消しを使用して新たな書き込みを行う。
小柄な女性はその下に計算を書き込み、Q.Eと書き込んでから、
今まで自分が書き込んでいたかなり細々と膨大な計算を消し去り新たな計算を開始した。
Q.E.Dの書き込みと共に、彼女はふーっと息を吐く。

「こいつに引っ掛からなかったのは二人目だ。あいつはQでストップしたけどな。
やるじゃん、どこの何様だ?」

ロキの問いに、彼女はようやく言葉を発した。

「アイシャ、あなたが」
「エバも名前ぐらいは聞いてるだろ。かつてCaltechから数学界を沸かせた天才少女。
Caltechでも飛び級天才のおチビちゃんがこいつをぶっこ抜いたってんだから、流石にぶっ魂消たぜ。
末恐ろしいガキはどこにでもいたモンだ」

言いながら、ロキはカッカッと黒板に数式を書き付ける。

「そこまで行きゃあこの業界、後の事も聞こえて来る。
家の事情でいっぺん中退、紙と鉛筆だけをパートナーに懸賞論文に当選して、
その受賞パーティーでうちの教授に口説き落とされてこっちに来た苦労人だ。
ま、その前に、先輩の伝手で潜り込んだベンチャーのソフト屋を専門分野でトップに押し上げたキーパーソン。
んなモンだから、スカウトの悪辣さと執念深さに定評のある
某世界的OSメーカーとも随分修羅場くぐって来たって聞いてるけどな」

ロキの不敵な笑みに、アイシャもにこりと笑みを返す。

「うちの数学でも今や若手のホープ、ニューヒロイン、実績も確か過ぎる程確か。
あの鬼教授、まだまだいい目してやがる」
「光栄です」

ぺこりと頭を下げたその笑顔は、まだ可愛らしいぐらいだった。


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