10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]
2012/08/16(木) 08:05:23.71 ID:DeNa+wh1o
言うまでもなく、この時の『好き』とは恋愛的な意味のこと。
こうすることで唯ちゃんの嫉妬を煽る。そんな考え。
……4人の目をちゃんと見つめることだけに集中していた私は、この刹那に唯ちゃんがどんな顔をしたのかを知らない。
でも、
律「……ムギ、愛してるぞ!」
澪「ムギ、私の愛の詩を聞いてくれ!」
梓「ムギ先輩、同棲から始めましょう!」
さわ子「ムギちゃん、ウェディングドレス作ってくるわね!!」
唯「………え?」
皆に魔法がかかった後、唯ちゃんの手から、ケーキの乗ったままのフォークが零れ落ちた光景は目に焼きついている。
フォークは机で跳ね、床に落ちたはずなのに、金属音が一切しなかった。
その瞬間、フォークはきっと私の胸に刺さったのだろう。
刺さった瞬間は、痛みを感知できなかったけど。
唯「……ムギ、ちゃん……?」
呆然とした顔で、僅かに動く唇から私の名前が紡がれて。
私を見つめて微動だにしない瞳が、まばたきも忘れて涙を流し始めた時。
ようやく私は、自分がしでかしたことの最低に気づいた。
紬「ゆ、唯ちゃん、あのね、これは……!」
唯「っ……!」ダッ
紬「ま、待って唯ちゃ――」
ガシッ
紬「!?」
追おうとしたけど、誰かに手とか脚とかいろんな場所を捕まれて追えない。
誰かなんてわかってる。みんなだ。私が『好きにさせた』みんなが、私がどこかに行くなんてこと、許すはずがない。
律「ムギ、どこに行く? どこでもいいぞー、エスコートは任せろ!」
澪「キミの眉毛は綺麗な半月、まるで分度器トキメキドキドキドキマギ♪」
梓「ムギ先輩、泊まりに来ます? それとも私が泊まりに行きましょうか?」
さわ子「いいから脱げよ」
紬「っ……待って皆、待って唯ちゃんっ…!」
唯「知らないっ! ムギちゃんなんて知らないっ!! ムギちゃんなんか――」
ドアに手をかけた唯ちゃんが、振り向き様に言う言葉の、その先。
言われなくてもわかってる。私を傷つけるその言葉は、ちゃんと聞こえてるから。
ちゃんと心に刻むから、だからせめて、言わないで――!
唯「ムギちゃんなんか――
紬「忘れて! 『みんな、全部忘れて』ッ!!!」
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