過去ログ - さやか「あたしは、一緒にいるから」
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1: ◆H5.fwl4dxg[saga]
2012/08/18(土) 01:29:11.67 ID:wShPANMO0
通い慣れた、病院の一室。
今日もそのドアの前に立つと、あたしは深く深呼吸をひとつだけする。
ここに来ると、決まってそうだ。
こうして深呼吸をして、自身を落ち着かせて。
そして、ひとしきり気持ちを落ちつけた後、ノックをする。
「はい、どうぞ」
ドアの向こうから聞こえて来る、これまた聞き慣れた声。
いつもと同じであることに多少の安堵を覚えたあたしは、ゆっくりとそのドアを開ける。
さやか「やっほ、恭介」
恭介「うん、いらっしゃい、さやか」
ベッドの上に座ってあたしを迎え入れてくれる彼は、あたしの幼馴染だ。
さやか「どう、調子は?」
恭介「あはは、いつも通りだよ」
椅子に腰かけながら、もう何度目になるかもわからない問答をする。
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2: ◆H5.fwl4dxg[saga]
2012/08/18(土) 01:30:25.56 ID:wShPANMO0
さやか「いつも通り、ね」
恭介「うん、いつも通り」
さやか「いい事なのか、悪い事なのか……」
3: ◆H5.fwl4dxg[saga]
2012/08/18(土) 01:31:27.00 ID:wShPANMO0
さやか「最近さ、まどかに新しい友達が出来たみたいなんだよね」
恭介「鹿目さんに?」
さやか「そ。その友達と行動するのが楽しいみたいでさ、あたしとは付き合いが悪くなってきてるってわけ」
4: ◆H5.fwl4dxg[saga]
2012/08/18(土) 01:32:56.32 ID:wShPANMO0
さやか「後は、そうだねぇ。転校生が来たって話、前にしたよね?」
恭介「ああ。確か、暁美ほむらさん、だったっけ」
さやか「そうそう、ほむら。また、別の学校に転校しちゃったよ」
5: ◆H5.fwl4dxg[saga]
2012/08/18(土) 01:34:18.22 ID:wShPANMO0
恭介「ああ、そうだ。僕の方からも、話しておかなきゃならない事があったんだった」
さやか「ん、何々?珍しいね、恭介から話だなんて」
恭介「うん。僕の退院の目途が、たったんだ」
6: ◆H5.fwl4dxg[saga]
2012/08/18(土) 01:35:18.38 ID:wShPANMO0
恭介「左手に関しては……ひと月前に、宣告されたのが覆る事はないだろうけど」
さやか「………恭介……」
恭介「そんなに暗くならないでよ、さやか。もう、大丈夫だからさ」
7: ◆H5.fwl4dxg[saga]
2012/08/18(土) 01:36:21.15 ID:wShPANMO0
恭介「この病室とも長い付き合いだったけど。もう少しでお別れかと思うと、なんだか寂しいような気がするよ」
さやか「そう……だね。あたしも、この病室にはすっかり通い慣れちゃったもん」
恭介「これは、いい事、だよね?」
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