203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/09/08(土) 22:25:54.11 ID:+Xfj+B4DO
ギリギリと、金属が軋むような音がまどかの耳にも届いていた。
彼は、確かにサイボーグで、身体はただの生物よりは丈夫だろう。
クロ「が、あ、ああ。」
その苦しむようにもれる声がクロの窮地を端的に表していると思った。
そして、業を煮やしたのか、魔女はクロを咥えたまま翼を動かし宙に舞はじめた。
行き先は、壁。
魔女は、クロを咥えたまま壁に叩きつけ、そのまま、こすらせるように進み、彼をいたぶり始めた。
クロ「ああああああ!!」
火花を散らして、壁にめりこみながら引きづられるクロの、まるで激痛に耐えるような絶叫が、まどかとさやかの耳に届いた。
まどか「クロちゃん!!」
口を両手で押さえたまどかは、もはや泣きそうな顔をしており、さやかは痛みを堪えるように顔を歪ませている。
やがて、クロは高い天井から、地面まで投げ捨てられた。
クロ「がふっ!」
鈍い音を立てて叩きつけられたクロは右手をついて立ち上がろうとした
クロ「・・・くそったれ。」
しかし、本来右手があるべき場所には、ケーブルがぶら下がり、その先では火花がバチバチとなっているだけである。
先刻の攻撃で、千切れてしまったのだ。
自分だって馬鹿ではない。
この戦いは、圧倒的に不利だった。
─────それでも、この戦いから逃げることはできない。
初めて会った時のゲーセンでのマミの楽しそうな顔が頭をよぎった。
まどかやさやかと出会い、生き生きとしたマミの顔が頭をよぎった。
自分を敵と見なしてでも、『居場所』を守ろうとしたマミの顔が頭をよぎった。
───自分だって同じだったから───
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