355:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/09/25(火) 14:13:20.65 ID:Rwkn3+0DO
臭いがある
存在するだけで悪意をふりまき
存在するだけで絶望を呼び寄せるような
あまりにも感覚的すぎるそんな臭いを感じる嗅覚を、クロは幼児期の極端な視力低下をカバーするために備えていた。
いや、嗅覚だけではなく、聴覚や、視覚以外の五感から直感的なものまでも彼は感じることができる。
クロは、今まさに、この街に漂っているその『臭い』のある場所に向かって走っていた。
本能が行き先を示し、意思によって歩みを進める。
道順までは分からないが、方角はなんとなく分かる。
クロは、ある時はブロック塀の上を走り、屋根の上を走り、道を走る。
そして、だんだんと目的の場所に近づいているのが分かる。
ここに来てから、嫌にはっきりと分かるようになった『魔女』という異形の臭い。
風に運ばれてくるようなものではない、ただ分かるのは『いる』ということだけだ。
街並みも変化していき、人気もなく、住宅地からも離れていく。
そして、目に入ったのは錆付いた大きな廃工場だった。
1002Res/761.81 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。