409:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/09/29(土) 13:04:30.09 ID:d9TnhUADO
ひとつ、こぼせばそれは、並々と溢れてきた。
奥から、底から、次々と吐き出ててくる。
恭介「僕、事故に遭ったんです。もう死ぬかもしれなかったくらいに大きな」
その弱さを、恭介は止める術を知らなかった。
何故なら、彼はずっと、この思いから避けていたからだ。
直視すれば、自分の心すらダメになりそうなくらいに。
恭介「その日から左半身が動かなくなって、今もまだ、ここでリハビリをしてるんです」
その言葉を、クロは黙って聞いていた。
目をつぶって、腕を組み、車椅子に背をもたれかけて、恭介の言葉の一つ一つを聞いていく。
恭介「なんにもないような繰り返しで、ずっとここにいなきゃいけないのかなって思って……」
クロ「面倒くせー奴だな」
恭介「え?」
クロは、恭介を遮るように言葉を発した。
いや、もう大体のことを理解したゆえの行動でもあっただろう。
クロ「結局、お前は何がしてーんだよ」
恭介「え?それは、腕が動かせるようになりたい……とか」
その言葉に、クロは呆れたように首を振る。
そして、身体を車椅子から離して、恭介の前を歩いていく。
背中を向け、首を軽く恭介に向けながら、彼は言った。
クロ「そんなんじゃねーだろ。どうしたいかなんて、腕が動かなくたって決められるだろ?」
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