544:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/10/09(火) 21:21:33.15 ID:mLRClCHDO
恭介「……無理なんですよ。僕には、もうさやかの期待に応える事はできないんだ」
あぁ、ダメだ。
押さえられない。
弱い自分が、汚い自分が溢れだしてくる。
恭介「さやかは絶対にバイオリンが弾ける僕だけを欲している!今のこの僕なんて誰も求めちゃいない!!指が動かない僕なんて誰も認めちゃくれないさ!!さやかだけじゃない、父さんも母さんも!みんなも!!」
奇跡?魔法?それはきっと、自分の指が動くようにとでも誰かが祈るのだろうか。
自分だって、できる事ならそうしたい。
でもそれは、逆に言えば指が動かない自分は、バイオリンを弾けない自分には何の価値なんて存在しない事の証明にも繋がる。
恭介「クロさん、あなただけは違った。あなたは僕に言ってくれた。『腕が動かなくても出来る事を考えろ』って」
クロは、あの時何も知らないであろう自分に、寄り添ってくれた。
彼だけは、自分に適当な優しさで擦り寄ろうとしなかった。
恭介「でも、でも、僕に出来ることなんてバイオリンくらいで……、何かをしようなんて何も思いつかない」
弾けもしないバイオリンのCDも、どこまで言っても着いてまわるかつての栄光も、忘れてしまいたいのに捨てられない。
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