806:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/11/22(木) 22:44:23.70 ID:xUu1tlmDO
少し見慣れた天井と、少し見慣れた白いシーツと着慣れた患者衣。
その殆どが今日までまったく慣れることはなかった。
見知らぬ天井は寝る前に気になっては眠気を削がれるし、シーツや患者衣もなんだか整い過ぎて肌に合わない気がした。
だが、不思議なものだ、と巴マミは考える。
今日で退院だと思うとそれらの違和感が突如として愛着に変わり、ほんの少しだが物憂げな気分になったのだ。
マミ「ふふッ」
なんだろう、こんなにも穏やかな気持ちになれるなんて入院前は思いもしなかった。
マミは、ふと窓の外にある風景を見た。
この風景だけは、最初から最後までずっと見ていられた。
日々変わる空の色も、刻一刻と姿を変える雲の形も、街も、音も、人の声も、全てがマミの心に流れこんでくる。
その感覚がたまらなく、嬉しかった。
そして、それだけじゃない。
『彼』はここから現れるのが通例でマミは、いつも、今日だって待っているのだ。
マミ「あッ!」
こんな風に窓を叩く音が聞こえてくるのを。
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