864:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/11/29(木) 21:17:41.42 ID:O+ChaoADO
マミの悲鳴のような叫びを聞いたクロの耳に、更にもっと別の声が届いた。
「おーい!誰か、誰かそいつを捕まえてくれぇ!!」
近づいてくるスクーターのはるか後ろに見えるその人影はよろめきながら、それでも本人からしてみれば必死で走っていた。
恐らくは、あのバッグの持ち主だろうか、視力には自信がないのだが、声の様子では老人の男性だろう。
見ればスクーターとの距離は絶望的、ただでさえも遠いその距離はどんどんと離れていく。
そして、それに比例するように当然の如く、スクーターは此方に距離を詰めてくる。
爺「と、止めてくれぇ!そのバッグは婆さんの大事なものなんじゃあ!!」
もう動けないのか、立ち止まってうずくまった老人が絶叫した。
疲れからか枯れたその声は弱々しくもはっきりと街に響いた。
そこでようやく周囲の人々が異変を察し老人の方に集まっていく。
クロ(……爺さんと婆さんは、元気だろうか)
この思いは少し場違いだろうか。
しかし、それでもその思いは、確かにクロを突き動かした。
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