過去ログ - 女「ちょwww私の脊髄とるのwwwwwやめwwww痛いwwww」
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21:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:24:39.16 ID:+rsVUWK9o
居間からは光が漏れ、点けっぱなしになっているテレビの派手な色相が陽光と暗黒の間で混じりあい
狂乱している。足裏で廊下をさすりそっと居間に近づき、その木製の軽いノブをかちゃりと回す。
ドアがきいと呻《うめ》いてゆっくり開くと、ぼくはすぐに台所に目を遣る。

誰もいない。
今度は居間の方を見る。

母親が昨日と全く同じ姿勢でテレビの明滅に沿って閉じた目蓋をぴくぴく動かしているすぐその横に、
多量の錠剤と安い缶ビールの空き缶が数本床に投げ捨てられている。

ぼくは屈んでその場にショルダーバッグを置くと、台所へ赴いてシンクの下の収納から
一番細く長い包丁を取り出し、今度は振り向いて冷蔵庫の上に所在なく載せられている
白い電子レンジの上にあるキッチンペーパーをあるだけ外装から取り出す。

ぼくは昨晩の胃の内容物を踏まないよう気を付けながらソファで惰眠を貪る母親の傍らに立ち、
彼女の胴体にキッチンペーパーを一枚一枚被せてゆく。幾重にも積み上げられる紙の蒲団《ふとん》。
そしてぼくは包丁を取り出し、骨に邪魔されないよう刃の向きを縦にしてキッチンペーパーが
剥がれないよう軽く押さえながら、彼女の則腹部、上腹部、季肋部、心窩部、前胸部、下腹部
それぞれに力一杯それを深く深く突き刺しさらに抜いては突き入れ抜いては突き入れる。
そうこうしている内に、彼女に掛けられた紙蒲団はトマトジュースを零されたようになる。

ぼくは後ろのポケットに入れっぱなしにしてあるハンカチを出して第六胸骨と第七胸骨との間に生えた
包丁の柄を奇麗に拭く。ハンカチを小さく折りたたんで母親の顔を除いてみるが、
彼女がテレビを凝視しているので、ぼくはソファからそっと身体を離して居間から出ようする。
すると、居間と廊下との境界を跨《また》いだ所で彼女が口を開く。

怪我には充分気を付けて学校に行くのよ。

ぼくは母親に注意する旨の返答を告げると玄関に行き、くしゃくしゃになった革靴を
突っ掛けながら履いて、隔離用に作られた鉄扉をぎいぎいと擦らせながら体重をかけて押す。
やっと少しだけ開いたドアの隙間から身を滑らせて外に抜け出し、広く大きな世界に出る。
若干重い熱を含んだ爽やかな空気、天上を埋め尽くす澄んだ青空にふわふわした真っ白な雲が
のんびり漂っている。

ぼくは大きく伸びをし、猛スピードで走り去る車達にぼんやり目を向けながら登校する。
たった数メートル移動しただけで轢殺され散り散りの肉塊と化す場所を歩きながら、
ぼくはふと、母親と会話したのが数ヶ月ぶりであることに気付く。


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