過去ログ - 女「ちょwww私の脊髄とるのwwwwwやめwwww痛いwwww」
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25:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:27:03.60 ID:+rsVUWK9o
ぼくの眼球が定点観測カメラと同じく一点に固定されたまま二千倍速で信号を脳に入力している。
動く物体の残像が重なり合って流体のような形状を取っているそんな光景の中で
唯一静かに佇んでいるのは、数ヶ月前に献げられた香花《こうばな》の勿忘草《わすれなぐさ》が
誰も水を替えなかったために腐ってゴミ箱に捨てられ、代わりに虚《うつろ》が生けられている
彼女の机の上の花瓶だけ。

ぼくが突然がたっと音を立てて席を立つ頃には既に空から転落した太陽が大地にぶつかっていて、
ぐしゃりと潰れた衝撃で飛散したその橙色の体液《ペンキ》が教室を完璧に染め上げている。

誰もいなくなった教室は、耳に障る程の静寂で喧々囂々《けんけんごうごう》としている。
ぼくの靴底が床を叩く乾いた音以外に響くのは、ぼくの内耳が環境音を掴み取ろうとして
失敗する無為な音だけ。

ぼくはゆっくりとした足取りで歩き彼女の席に辿りつくと、窓へと続く径《こみち》を作るために、
手と腕に力をこめて他人の机と椅子をどかしだす。


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