過去ログ - 女「ちょwww私の脊髄とるのwwwwwやめwwww痛いwwww」
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36:『コペイン』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2012/08/19(日) 02:37:51.40 ID:+rsVUWK9o
  -Z-


ほんの小さな街灯だけが漆黒に抗う空間で、彼女はぼくに肩を貸して歩いていた。

ぼくの鼻腔を蕩《とろ》けさせる彼女の甘い匂いをなるべく嗅がないように口で呼吸しても、
ぼくの皮膚組織を貫通する彼女のぬくもりや柔らかさがぼくの脳機能の一部を強烈に麻痺させた。
輪状甲状筋や甲状披裂筋などの発生筋も影響を受け、それらは一時、著しく鈍麻してぼくの声は
くぐもった音になった。

症状は十数分で軽快したが、それでもぼくは視線を下に落としたままたどたどしく彼女に話しかけた。

何?

人生で一番辛かったことって何?

え? 彼女は唐突な問に戸惑いの表情を見せた。

知りたくて。答えたくなかったらいいんだ。

ぼく達はそのまま、無言で少し歩いた。

昔、大好きだった友だちと喧嘩したことかな。

喧嘩。ぼくが鸚鵡《おうむ》返しで言った。

他愛もない子どもの喧嘩。でも、言い争った後、とっても後悔したの。どうしてあんなこと、言っちゃったんだろ、私は酷い子だ、って。

それから?

すぐにその子とは仲直りしたよ。

そう。他には。

ないよ。君はあるの?

え?

あ、ごめん。聞いちゃ駄目だよね、こんなこと。

ぼく達はそのまま、無言で少し歩いた。


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