過去ログ - 春香「ねぇプロデューサーさん?」
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2012/08/23(木) 00:27:35.11 ID:QXBHTeFZo
律子さんの顔を覗き込んでみると、何かいつもと違う雰囲気が感じられた。
いつも強気な律子さんに珍しく、心配の種を心に持っているような、そんな感じ。
俯いたまま目だけをこちらに向けて、私の心を探るような表情を浮かべている。
「どうしたんですか?」
「春香は……よかったの?」
「何のことでしょう?」
「好きだったんじゃないの? プロデューサーが」
「あぁ……それは…………」
確かに律子さんの言うとおり、私はプロデューサーさんが大好き。
それは恋愛感情としてもそうだし、尊敬の念としてもそう。
私は自分に正直というか、器用じゃないというか…………。
自分の気持ちを隠すことが下手だから、鈍感なプロデューサーさんは抜きにして、
律子さんは私がプロデューサーさんに好意を抱いていることに気付いていたみたい。
だから、ともすれば敵に塩を送ろうとする私のことを心配してくれたんだ。
「それだったら、もう平気ですよ」
「もうって……」
それは最近になってわかったこと。
最近になってかわったこと。
「普通なら、私は学校に通ってますよね? いや、もちろんちゃんと通ってますけど」
「えぇ」
「でも、明らかに学業は二の次です」
「あまり感心しないけど、実際問題難しいわよね」
「で、もし私がアイドルじゃなかったら、普通に学校に通ってました。
そして、普通に異性に恋をして……ってことになっていたはずです」
きっとそれが、ごく一般的な思春期の女子の姿なんだと思う。
恋人が出来る出来ないは別としても、好きな人ぐらいはいるはず。
でも私は今、世間一般的な学校生活、
一般的な思春期女子とは遠くかけ離れた場所に居る。
私に思春期特有の、異性に対する感情が芽生えたとしても、それを向ける相手が居ない。
だから、その行き場を失った感情が……
本来なら同年代の男子に向けられていた筈の感情が……
「一番身近な異性であるプロデューサーさんに向けられてただけなんですよ」
「…………」
律子さんはものすごく真剣で、それでいて憐れむような表情をしている。
やっぱり律子さんはとても優しくて暖かい人だ。
そっけないように見せているけど、いつもみんなを気にかけていて、ちゃんと見ていてくれる。
だからこそ、律子さんには心配をかけちゃいけない。
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