104:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 21:47:49.77 ID:bOaug2Ec0
女の子はいかにもつらそうに眼を大きくして、もう一度こっちをふりかえってそれからあとはもうだまって出て行ってしまった。
汽車の中はもう半分以上も空いてしまい、にわかにがらんとしてさびしくなり、風がいっぱいに吹き込んだ。
そして見ているとみんなはつつましく列を組んで、あの十字架の前の天の川のなぎさにひざまずいていた。
そしてその見えない天の川の水をわたって、ひとりの神々しい白いきものの人が手をのばしてこっちへ来るのを二人は見た。
けれどもそのときはもう硝子の呼子は鳴らされ、
汽車はうごき出したと思ううちに銀いろの霧が、川下の方からすうっと流れて来て、もうそっちは何も見えなくなった。
ただたくさんのくるみの木が葉をさんさんと光らして、
その霧の中に立ち黄金の円光をもった電気栗鼠が、可愛い顔をその中からちらちらのぞいているだけだった。
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