23:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:42:44.35 ID:87tC1tni0
老人「駅のホームは時計塔の向かい側にある丘の上だからな。」
民宿を出る時、老人は二人を前にして言った。
老人「お前にはこれをやろう。三次空間からのおみやげだ。」
老人は四つくらいに折られた緑色の紙を男に渡した。
男「これは?」
老人「どこにでも行ける証明書だ。汽車の旅で必ず役に立つぞ。」
男「ありがとうございます。そうだ、女の分の切符は?」
老人「そっちのお嬢さんは持ってるはずだよ。よくポケットの中を探してみろ。」
女がけげんな顔をしてポケットを漁ると、小さな鼠いろの切符が出てきた。
星の明かりに透かすように眺めてみる。
女「あった。」
男と女がそれぞれの切符を大事にポケットに仕舞ったのを確認すると、
老人は改まって言った。
老人「いいか、これからも人から何かをもらうことがあるだろうが、
物でも、愛でもいい。誰かから授かったものは最後まで大事にするんだ。
例えばそれが、大切なものと引き換えに手に入ったものだとしてもだ。」
女「はい……心得ておきます。」
男「分かりました。それじゃあ、お世話になりました。」
二人には老人がなんのためにそんなことを言うのか分からなかったが、
心から自分たちのために心配してくれているのを感じたので、素直に従わずにはいられなかった。
136Res/104.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。