13:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:01:18.93 ID:87tC1tni0
四、ケンタウル祭の夜
14:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:04:44.95 ID:87tC1tni0
男の子は何か声を掛けたようだが、まだ言ってしまわないうちにもう一人が叫んだ。
「ラッコの上着が来るよ!」
15:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:06:53.74 ID:87tC1tni0
そっと目を開けると、ざわめきの中にうそのようにただがらんとした暗い路地だけがあったが、
さっきまで男の子が居た電燈の辺りに、女が背を向けてとぼとぼ歩いているのが見えた。
男は痛む頭から手を離して女を追いかけた。
16:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:08:13.51 ID:87tC1tni0
気がつくと霧が出ていて、それが街の明かりに照らされている。
そこは暖かくて、とても静かだった。
後ろを振り向くと、さっきの街燈が、ダイヤモンドダストのようにきらきらと青白い光を反射する もや を噴き出していた。
17:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:18:37.60 ID:87tC1tni0
五、民宿の主人
18:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:22:52.03 ID:87tC1tni0
老人「はいはい、お泊りで?」
男がどう答えればいいか、自分たちに起こったことをどう説明すればいいか困っていると、老人が心得たふうに言った。
19:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:25:18.17 ID:87tC1tni0
老人が廊下の奥に行って見えなくなると、遠くで女の人と話しているのが聞こえた。
どちらかが何か言うと二人はこそこそと内緒話をするような声になったが、すぐに話を切り上げて老人が戻ってきた。
老人「二階の部屋をひとつあてよう。なぁに、ちゃんと仕切りがあるから大丈夫だ。
20:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:27:56.34 ID:87tC1tni0
女「お泊まり〜!」
女は一方のベッドに仰向けになって飛び込んだと思うと、
そのまま目を閉じてすぐに寝息をたて始めた。
21:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:33:44.42 ID:87tC1tni0
男「じゃあ屋上行かないか? よく晴れてるし、星の名前教えてやるよ。」
部屋を出てから向かって右の短い階段を登って屋上へ出てみると、
空の端っこの、地平線のすぐ近くまで鮮やかに輝く星たちが、街に並んだ屋根の上を覆っていた。
22:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/27(月) 03:40:52.99 ID:87tC1tni0
空の隅々のことまで語り尽くすと、話すことも無いし部屋に戻って寝るような気分でもなくて、手持ち無沙汰になってしまった。
それに男はさっきからなんだか違和感があった。
男(この星空はおかしい。もうだいぶ時間がたったはずなのに、雲が一つも流れてこない。星もちっとも動いてないぞ。なら、ここは……。)
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