33:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 00:21:14.42 ID:bOaug2Ec0
男「ずっと下から眺めてたのがばかみたいだ。」
男は言いながら、すっかり上機嫌になって、窓枠に頬杖をついて、高く高く星めぐりの口笛を吹きながら、その天の川の水を眺めていたが、はじめはどうしてもそれが、はっきりしなかった。
けれどもだんだん気をつけて見ると、そのきれいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとおって、ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、虹のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行き、野原にはあっちにもこっちにも、燐光の三角標が、うつくしく立っていたのだ。
遠いものは小さく、近いものは大きく、遠いものは橙や黄いろではっきりし、近いものは青白く少しかすんで、或いは三角形、或いは四辺形、あるいは電や鎖の形、さまざまにならんで、野原いっぱい光っているのだった。
男は、まるでどきどきして、景色をあますところなく見ようと何度も頭を左右に振った。
するとほんとうに、そのきれいな野原中の青や橙や、いろいろかがやく三角標も、流星のように、尾を引いてゆれたり震えたりした。
男「今じゃもう、すっかり銀河の真ん中だ。」
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