51:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 00:55:24.29 ID:bOaug2Ec0
「違うもなにもありませんや。そら。」
その男の人は立って、網棚から包みをおろして、手ばやくくるくると解いた。
「さあ、ごらんなさい。いまとって来たばかりです。」
男「ほんとうに鷺だなあ。」
男は思わず叫んだ。
まっ白な、あのさっきの北の十字架のように光る鷺のからだが、十ばかり、少しひらべったくなって、
黒い脚をちぢめて、浮彫のようにならんでいたのだ。
女は黙ったまま、指でそっと、鷺のSの字に縮んだ首にさわった。
頭の上の槍のような白い毛もちゃんとついていた。
「ね、そうでしょう。」
鳥捕りは風呂敷を重ねて、またくるくると包んで紐でくくった。
誰がいったいここらで鷺なんぞ喰べるだろうと男は思いながら訊いた。
男「鷺はおいしいんですか。」
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