52:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 00:56:58.71 ID:bOaug2Ec0
「ええ、毎日注文があります。しかし雁の方が、もっと売れます。雁の方がずっと柄がいいし、第一、手間がかかりませんからな。そら。」
鳥捕りは、また別の方の包みを解いた。
すると黄と青じろとまだらになって、なにかのあかりのようにひかる雁が、
ちょうどさっきの鷺のように、くちばしを揃えて、少し扁べったくなって、ならんでいた。
「こっちはすぐ喰べられます。どうです、少しお召しあがりなさい。」
鳥捕りは、黄いろな雁の足を、軽くひっぱった。
するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれた。
「どうです。すこしたべてごらんなさい。」
鳥捕りは、それを二つにちぎってわたした。
男は、ちょっと喰べてみて、
男(なんだ、やっぱりこいつはお菓子じゃないか。
チョコレートよりも、もっと美味いけど、こんな雁が飛んでいるもんか。
この男は、どこかそこらの野原の菓子屋だ。
でもおれは、このひとをばかにしながら、この人のお菓子をたべているのは、すごく気の毒だ。)
とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていた。
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