53:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 00:58:39.86 ID:bOaug2Ec0
「も少しおあがりなさい。」
鳥捕りがまた包みを出した。
男は、もっとたべたかったのだが、
男「ええ、ありがとう。」
と言って遠慮したら、鳥捕りは、こんどは向うの席の、鍵をもった人に出した。
「いや、商売ものを貰っちゃすみませんな。」
その人は、帽子をとっておじきした。
「いいえ、どういたしまして。どうです、今年の渡り鳥の景気は。」
「いや、すてきなもんですよ。一昨日の第二限ころなんか、なぜ燈台の灯を、規則以外に点滅させるかって、あっちからもこっちからも、電話で故障の知らせが来ましたが、なあに、こっちがやるんじゃなくて、渡り鳥どもが、まっ黒にかたまって、明かりの前を通るのですから仕方ありませんや。わたしぁ、べらぼうめ、そんな苦情は、おれのとこへ持って来たって仕方がねえや、ばさばさのマントを着て脚も口も途方もなく細い大将へやれって、こう言ってやりましたがね、はっは。」
すすきがなくなったために、向うの野原から、ぱっとあかりが射して来た。
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