85:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 20:46:07.38 ID:bOaug2Ec0
「ええ、ええ、もうこの辺はひどい高原ですから。」
うしろの方で誰かとしよりらしい人のいま眼がさめたという風ではきはき談している声がして、男はやっと頭をひっこめた。
「とうもろこしだって棒で二尺も孔をあけておいてそこへ播かないと生えないんです。」
「そうですか。川まではよほどありましょうかねえ、」
「ええええ河までは二千尺から六千尺あります。もうまるでひどい峡谷になっているんです。」
そうそうここはコロラドの高原じゃなかったろうか、男は思わずそう頭に浮かんだ。
女がこっちを向いて、もういちど汽笛を真似てぴゅるうっとなさけなく吹くと、
ようやく男は笑顔を見せた。
女の子はまるで絹で包んだ苹果のような顔いろをしてそんな二人を見ているのだった。
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