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157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/19(水) 22:23:28.05 ID:CZWxbiQ2o

 イケヤマを店に呼び出したあたしは彼に別れ話を切り出したけど、思っていたとおり彼
は全然納得してくれなかった。それはそうだろう。別れたいというあたしの希望の理由は
曖昧で我ながら全く説得力がなかったから。

 本当のことを言えば彼が納得して別れてくれるかどうかは別にして、動機だけはそれな
りにわかってもらえたかもしれない。でも、とても兄貴を誘惑したいからなんて言葉にす
ることはできなかった。さらに言えばそれは兄貴と兄貴の実の妹との恋愛を邪魔するため
だなんてイケヤマには言えるはずもない。

 そういうわけであたしが別れ話を切り出してもイケヤマは憤るだけで全然話は進まなか
った。

「おまえ他に男ができたんだな。誰だか言えよ」

「だからそんなのいないって」

「嘘つくな。誰だよ? まさかイイダか」

「んなわけないでしょ。なんであたしがあんなやつに惚れなきゃいけないのよ」

「じゃあ誰だよ」

「だから男ができたわけじゃないって」

「じゃあ何で俺と別れるとかって言うんだよ。納得できねえよ」

「何度も言わせないでよ。さっき言ったとおりあたしはそろそろ真面目になって受験勉強
とか始めたいのよ」

「それと俺と別れるのって関係ねえじゃん。おまえが勉強したいなら俺だって夜誘ったり
しねえしよ」

「それじゃだめなんだってば。うちの兄貴と同じ高校に入るには相当頑張らないと無理っ
ぽいのよ。だから彼氏なんていたらとても勉強に集中できないじゃない?」

 我ながら嘘っぽい言い訳だった。でも全くの嘘でもない。うちのパパとママはあたしに
対して兄貴に抱いているほど期待していない。それでもあたしがイケヤマと同じ工業高校
なんかに入ったら、二人ともますます兄貴を可愛がってあたしのことなんか気にも留めな
くなるだろう。

 そのことは半ば諦めていたことなのだけど、兄貴の好みの女の子が奈緒のような子だと
わかった以上、外見だけでなく中身も少しは頑張らないといけない。たとえ兄貴の高校ほ
ど偏差値の高い学校に行けなくても、少しは努力している様子を兄貴はもとより両親にも
見せないという思いはあたしにもあった。だから兄友に話したことはあながち嘘ではなか
ったのだ。

 でもやはり無理があることは自分でもわかっていた。実際、これまでもあたしは勉強し
ようと思いながらも、そのためにイケヤマと別れようなんて考えたことはなかったのだか
ら。

「おまえ何か隠してるだろ」

「何にも隠してないよ。つかあんたもてるんだからあたしなんかに執着しなくたっていい
じゃん」

 それは本当のことだった。イケヤマと付き合い出したことであたしはこれまでも高校生
のギャルっぽい女の子に何度か嫌がらせされたことがあった。

「ほら、いつもあんたに擦り寄ってくる高校生の先輩たちがいるじゃん? あの女の人た
ちと付き合えばいいのに」

 あたしはしつこいイケヤマの追求にいらいらしてつい心無い言葉を発してしまった。


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