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192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/27(木) 00:19:19.28 ID:Ni0AA1zQo

 三十分くらいたってチャイムの音がした。

「やっと来た。叔母さんお金」

「ほれ。これで払っておいて」

「うん」

 明日香が玄関の方に向って行った。

「さて」

 叔母さんが僕に言った。

「・・・・・・どうしたんですか」

 僕の言葉を聞いて叔母さんの表情が少し曇った。

「あのさあ。奈緒人君、何で去年くらいから突然あたしに敬語使うようになった?」

「ああ。そのことですか」

「ですかじゃない。君も昔は明日香と同じで遠慮なんかしないであたしに言いたい放題い
ってくれれたじゃんか」

「・・・・・・ごめんなさい」

「あんた。あたしに喧嘩売ってる?」

「違いますよ」

「じゃあ何でよ。あんたがあたしに敬語を使うようになったのって、結城さんと姉さんか
らあの話を聞いたからでしょ」

「まあ、そうですね」

「水臭いじゃん。それにあんた姉さんには敬語で話してる訳じゃないんでしょ」

 僕は黙ってしまった。

「明日香にだって、普通におまえとかって呼べてるじゃん。何であたしにだけ敬語使うよ
うになったの?」

 叔母さんは別に僕を責めている口調ではなかった。むしろ少し寂しそうな表情だった。

 余計なことを言わずに謝ってしまえばいい。最初僕はそう思ったけど、そうして流して
しまうには叔母さんの口調や表情はいつもと違って真面目なものだった。だから僕は思い
切って言った。

「叔母さんって僕が去年真相を知らされる前から僕には、奈緒人君って呼んでたでしょ。
妹には明日香って呼んでたのに」

 叔母さんは少し驚いた様子だった。多分無意識のうちにそう呼んでしまっていたのだろ
う。多分この人は僕の父さんと僕が他人だった時から僕たちのことを知っていたのだろう
から。

「そういやそうだったね」
 叔母さんが珍しく俯いていた。「あたしとしたことが、無意識にやらかしてたか」

「よしわかった。あたしがわるかった。これからは奈緒人って呼び捨てにするからあんた
も敬語よせ」

 ・・・・・・何でだろう。僕はその時目に涙を浮べていた。


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