193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/27(木) 00:22:03.29 ID:Ni0AA1zQo
きっと幸せなのだろう。去年の両親の告白以来初めて感じたこの感覚はそう名付ける以
外思いつかない。
相変わらず家には不在気味だけど、以前と変わらない様子で僕を愛してくれている両親。
その好きという言葉がどれだけ重いものなのかはまだわからないけど、これからは僕の
いい妹になると宣言しそれを実行している明日香。
僕に向かって敬語をよせと真面目に叱ってくれる玲子叔母さん。
そして、何よりこんな僕に初めてできた理想的な恋人であるナオ。
「叔母さんありがとう」
僕は涙を気がつかれないようにさりげなく払いながら叔母さんに言った。
「ようやく敬語止めたか」
叔母さんは笑ったけど、どういうわけか叔母さんの手もさりげなく目のあたりを拭いて
いるようだった。「明日香遅いな。たかが寿司受け取るくらいで何やってるんだろ」
「さあ」
「よし、奈緒人。おまえ玄関まで偵察して来な」
さっそく叔母さんに呼び捨てされたけど僕はそれが嬉しかった。
「じゃあ、見てくるよ」
そう言って僕がソファから立ち上がろうとしたとき、明日香が手ぶらで戻って来た。
「お寿司屋さんじゃなかったよ」
ぶつぶつ言いながら戻って来た明日香に続いて父さんがリビングに入って来た。
「あら結城さん。お帰りなさい」
「何だ、玲子ちゃん来てたのか」
父さんはそう言ってブリーフケースを椅子に置いた。
「久しぶりだね。でもよくこの時期に会社を離れられたね」
父さんは叔母さんに笑いかけた。「うちみたいな専門誌だってこの時期は年末進行なの
に」
「たまたまだよ。たまたま。それよか結城さんご飯食べた?」
何だか叔母さんがうきうきとした様子で言った。
「まだだけど」
「じゃあ、特上の寿司の出前も頼んだことだし今夜は宴会だ。鬼の・・・・・・じゃなかった、
姉さんのいない間に息抜きしましょ」
「やった。宴会だ」
明日香が楽しそうに言った。僕はそんな妹の無邪気で嬉しそうな顔をしばらくぶりに見
た気がした。
「ほら、結城さん。とっととシャワー浴びたらお酒用意してよ。さすがに勝手に酒をあさ
るのは悪いと思って今まで我慢してたんだから」
父さんが苦笑した。でも僕にはすぐわかった。仕事帰りで疲れた顔はしているけど、父
さんの表情は機嫌がいい時のものだ。
「じゃあ久しぶりに子どもたちにも会えたし宴会するか」
「あたしに会うのだって久しぶりじゃない」
叔母さんが笑って父さんに言った。
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