243:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/02(火) 00:12:59.67 ID:HzCbppwJo
もうあと数日で大晦日になるという師走のある日、あたしたちはいつものファミレスで
お喋りしていた。ちょうど昼時だったのでここでお昼を済ましてしまおうということにな
ったのだった。
兄貴は本屋に寄ってからあとでここで合流するということで、このときあたしは有希と
二人きりだった。食事の注文を終えたところであたしはずっと気になっていたことを有希
に聞いてみようと思った。ちょうど兄貴がいないのでチャンスだったし。
「ねえ」
あたしは有希に話しかけた。「奈緒ちゃんと兄貴って本当に付き合ってるのかな」
「何を今さら。奈緒ちゃんはナオトさんに夢中じゃない。冬休み前なんか学校で奈緒ちゃ
んに会うといつもナオトさんの話を聞かされてたんだよ、あたし」
有希は笑って言ったけどその表情には少しだけ苦い感情が表れていたと思ったのはあた
しの考えすぎだろうか。
「そうなんだ。でも奈緒ちゃんはそうでも兄貴の方はどうなんだろ」
「ナオトさんの方はってどういう意味?」
「だってせっかくの冬休みなのに兄貴ったら全然奈緒ちゃんとデートとかする様子もない
しさ。それにこうしていつも三人で会ってるでしょ? 兄貴も最近有希ちゃんとこうして
お話しすることが嬉しいみたいだし」
「また適当なこと言って」
有希は少しだけ赤くなって言った。「ナオトさんはあたしのことなんか奈緒ちゃんの親友としか
・・・・・・」
ここで少し言葉を区切った有希は話を続けた。
「あと明日香の親友だくらいにしか考えていないよ」
有希があたしのことを親友だと言ってくれたことが、あたしは素直に嬉しかった。兄貴
と有希を付き合せたいという当初の目的とは別に、あたしは有希のことが友だちとして好
きになっていたから。
「そうだね。兄貴は確かにあんたのことをあたしの親友だと思ってはいるよ。でもそれだ
けじゃないと思うなあ」
「あのさあ。もしかして明日香ってあたしとナオトさんをくっ付けようとしてない?」
「してる」
あたしは正直に言った。「明日香みたいな子が兄貴の彼女ならいいのにって前から思ってたし」
「ナオトさんは奈緒ちゃんの彼氏なんだよ」
「兄貴と奈緒ちゃんが本気でお互いを好きならさ、何で休みなのに二人で会おうとしない
のよ」
あたしが今日有希に確かめたかったことはこのことだった。
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