過去ログ - ビッチ
1- 20
244:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/02(火) 00:14:54.44 ID:HzCbppwJo

「何だ。そんなこと気にしてたのか」
 有希は笑って言った。「明日香ってご両親が音楽関係の仕事をしているのに知らないの
ね」

「どういう意味?」

「・・・・・・奈緒ちゃんがピアニストになりたくて音大を志望していること知ってる?」

「うん、まあ何となく。コンテストとかでも入賞するくらいなんでしょ」

「じゃあさ。ピアニストになりたい中高生くらいの子が一日何時間ピアノを弾くのか
は?」

「それはわかんないや」

 あたしは正直に言った。

「最低でも三、四時間練習するんだよ。あとさ、佐々木先生の教室のこと知ってるでし
ょ?」

「有希と奈緒ちゃんが通っているピアノ教室でしょ」

「普通のピアノ教室じゃないの。佐々木先生は奈緒ちゃんの志望している音大の教授なの
よ」

 有希はもう笑っていなかった。真面目な顔であたし見て話し始めた有希にあたしは困惑
した。

「音大の願書には師事している先生の名前を書く欄があるの。建前は自分の個人レッスン
の先生が実技試験の試験官にならないようにするためって言われてるのね。自分の弟子を
採点するのは公平じゃないからね。でも本当は受験生がどんなレベルの、どういう系統の
先生に師事してきたかを調べているみたい。だからその大学の先生についてレッスンを受
けていると受験が有利になるわけ。有希があそこでレッスンを受けているのってそういう
理由なんだよ」

 有希の話は随分生々しい話になってきた。

「奈緒ちゃんって随分ずるいことをする子なんだね」

 あたしはもともと奈緒が・・・・・・つまり兄貴の実の妹が嫌いだったから自然に奈緒のこと
を誹謗する言葉が口を出てしまった。でも有希は笑っただけだった。

「そんなわけないじゃん。誰でもしていることなんだよ」

 それからしばらくあたしは有希から音大を目指す子たちの話を聞いた。どうもかなり面
倒くさいことらしい。

 有希によれば、少なくとも六歳から八歳までにはピアノを始めてなければならない。そ
して中学に入学する頃には音大のピアノ科を卒業した先生に個人レッスンを受けているこ
と。

 それもその頃になると自宅にグランドピアノや落ち着いて練習できる環境があることも
条件になる。さっき話に出たように中学の頃で一日最低三、四時間の練習も必須だ。

 そして少なくとも高校生になる頃には音大受験を意識した生活パターンが出きていなけ
ればならない。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1204.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice