3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/08/29(水) 00:11:40.64 ID:ogCHSW01o
思ったとおりこの時間の朝のキッチンにはいつもは家中で一番早く起きる母さんの姿
はなかった。
僕はやかんに少しだけ水を入れてコンロに火をつけた。このくらいの量の水ならすぐ
に沸騰するだろう。
早起きしてしまったせいで登校するまでにはまだ時間が十分あった。何でこの日だけ
早起きしてしまったのかはわからないけど、その恩恵には十分にあずかれそうだった。
僕は父さんのことも母さんのことも嫌いではない。この二人から高校生活のことや部
活のこととかを質問されながら朝食の時間を過ごすのも悪くはない。
ただし、それは妹が一緒に食卓についていなければだ。あいつがいると、僕のこの間
のテストの成績を誉めようとしてくれた母さんは口をつぐみ、部活のことを楽しそうに
聞いてくれている父さんまで黙ってしまう。
要するに妹がいると父さんと母さんは僕とまともに会話できなくなってしまうのだ。
あいつはこういう時いつも僕の話に水をさす。
「お兄ちゃん(と両親の前では昔のように妹は僕のことを呼んでいた。二人きりのとき
はあんたと呼ぶか人称さえないことが普通だったけど)のことばっか話すよね、母さん
たちは。どうせあたしはお兄ちゃんみたいないい子ちゃんじゃないし成績もよくないよ。でもだからといってあたしのこと無視しなくてもいいじゃない」
こうなると父さんと母さんは気まずそうに僕から目を逸らして黙ってしまうのだ。
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