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435:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/31(水) 23:40:44.66 ID:z8naSqP5o

「ちょっとやりすぎちゃったかなあ」

 叔母さんはあの後あまり喋らなくなった。そして明日香と僕を自宅に送り届けるとそそ
くさと車を出して仕事に戻ってしまったのだった。

 明日香はリビングのソファで怪我をした部分を当てないように上手に横になってくつろ
いでいた。手元にはテレビのリモコンまで引き寄せているところを見ると、こいつは今日
は自分の部屋ではなくリビングで過ごす気になっているようだ。

「ちょっとなんてもんじゃないだろ。叔母さん、あれからあまり話してくれなくなっちゃ
ったじゃないか」

「だって気になるんだもん」

 年上の叔母さんのそういう感情面みたいな部分を話すことに僕は違和感のようなものを
感じた。さっきの病室での明日香の冗談だって居心地が悪かったし。

 だけど今は明日香が襲われた話とか有希の話とかをするよりも、こういう話をしていた
方が明日香にとっては気が楽だろうとさっきも病院で考えたばかりだ。だから僕は無理に
話を遮らずその話に付き合うことにした。

「叔母さんだってもう三十じゃない? あんだけお洒落で綺麗なのにいつまで独身でいる
つもりだろ。男なんていくらでも捕まえられそうじゃん」

「確かに綺麗だけどさ。叔母さんって性格は男っぽいからなあ」

「お兄ちゃんってやっぱキモオタ童貞だけあって女のこととかわかってないのね」

 随分な言われようだけど明日香の言葉には以前のようなとげはなかった。

「それは反論できないけど」

「叔母さんのしっかりとした態度なんて職場とかあたしたち向きの演技だよ、きっと」

 明日香が随分うがったことを言った。

「そうかなあ」

 車の趣味とかきびきびした決断の早い行動とかがあいまって叔母さんを男っぽく見せて
いるのだろうけど、その全部が演技だというのはさすがに素直には受け取り難い。

「男と同じに扱われる職場だってまえに叔母さんも言っていたし。それに叔母さんが両親
があまりそばにいてくれないあたしたちと一緒に過ごしてくれるときってさ」

「うん」

「多分必要以上に頼りになる叔母さんを演出してくれてたんだよ、今まで」

 それはあまり考えたことのない視点だった。たしかにそういうことはあるかもしれない。
叔母さんは以前から好んで僕たちの世話を焼いてくれていたし、まだ幼かった頃の僕たち
に対して安心感を与えようとしてくれていたのかもしれなかった。

 小さい頃から叔母さんにべったりだった明日香も今までただ甘えていただけではないら
しい。明日香は叔母さんの心の動きまで察していたようだった。


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