過去ログ - ビッチ
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705:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 23:09:00.42 ID:Upuk+rYRo

「奈緒ちゃんと引き剥がされたあんたは感情を表面に出さなくなってね。あんたは明日香
に比べたらぜんぜん手のかからない子だった。でもそれは心の傷も自分の悩みも全部一人
で溜め込んでいたからだよね。あんたはあたしには全然相談してくれないし」

「ごめん」

「正直に言うとあんたのことは明日香よりもっと気になっていたの。あんたの面倒をみる
ようになってからずっとね」

 叔母さんは夢見がちな口調で言った。過去を回想し始めたようだった。

「そんなあんたは明日香よりも優しい性格でね。あたしの方があんたに慰められていたこ
とが何度もあったよ」

「ごめん、そこまでは思い出せない」

「うん、いいよ。それでそんなあんたの面倒を見ているうちにいつのまにか男として意識
しだしちゃってね。気持ち悪いでしょ? 叔母からこんな話聞かされたら」

 答える代わりに僕は叔母さんの手を握った。それは僕を育ててくれた母親代わりの手だ
った。でも十以上も年上の叔母さんのその手はどこまでも白く華奢だった。叔母さんは僕
に自分の手を握らせたままで続けた。

「あんたは手がかからない子だったけど、あたしを心配させるという意味では明日香より
も大変だったよ」

 僕は父さんや新しい母さん、それに玲子叔母さんにだけは迷惑をかけないようにしてい
ただけだった。つらい思いだって自分で飲み込んでしまえば心配させることはない。僕は
そう思ってそれを唯一の行動原理にして生きてきた。最近になって奈緒と再会し明日香と
付き合い出すまでは。

 でも結局のところそんな考えは叔母さんにはばれていたようで、そんな僕を叔母さんは
黙って口を出すことなく、それでも心配しながらずっと見守っていてくれたのだ。

「・・・・・・僕たち両想いだったの?」

 思わず言ってはいけない言葉が口に出た。両想いって何を言っているのだ。僕には明日
香がいるのに。

「さあ? 少なくともあたしの方は奈緒人のことが好きだったよ」
 叔母さんが笑った。「こんな気持ちをあんたに知られたらあんたにドン引きされるだろ
うし、二度と叔母さんって呼んでくれなくなると思って必死で隠していたけどね」

 叔母さんは何か吹っ切れた様子だった。それに胸を僕に弄られたことも気にしていない
ように見えた。

 これがゲームだったら間違いなくセーブポイントだった。僕は言うに事欠いてそんなど
うしようもないことを考えた。明日香ルートを選ぶなら素直に叔母さんの好意にお礼を言
って、同時に叔母さんにエッチなことを強要しようとしたことを謝るべきだった。

 そうだ明日香のことがある。でも、今にして思えば僕をずっと支えてくれたのは叔母さ
んだったのだ。

「恥かしいこと話しちゃった。ごめんね奈緒人。できれば忘れてくれて今までどお
り・・・・・・」

 でも僕はそうしなかった。何かを話そうとしている叔母さんの唇を僕はまた塞いだのだ。
今度は叔母さんもすぐに僕に応えて乱暴な口づけを受け入れてくれた。

 これは玲子叔母さんルートの入り口なのだろうか。その先にはいったいどういう展望が
開けているのだろう。そしてその場合明日香はどうなるのだ。


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