779:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/29(土) 00:17:29.42 ID:a6JXZXXTo
「これって・・・・・・」
「結城先輩、ごめんなさい。先輩を苦しめる気はないの。でも事実は事実だから」
怜菜は僕に向かってすまなそうに謝った。
「君が謝ることはないよ。ただ、麻季は先輩とはもう縁が切れていると思っていたからこ
ういうやりとりをしているとは思わなかった」
「本当にごめんなさい。先輩だって被害者なのに」
「君はこのことを先輩に言ったの?」
僕は無理して怜菜のことを心配して言った。でも心中は穏かではなかった。僕が不貞を
働いた麻季を許したつもりだった。でもこのメールを見る限り麻季が僕の態度に不満、あ
るいよく言って不安を感じていることは明らかだった。
麻季は僕には口では僕に謝罪し一番愛しているのは僕だと言った。でもこのメールのニ
ュアンスでは息子のために僕とやり直すような気持ちが感じられた。そして何よりも夫で
ある僕に対して何も言わないでいる自分の考えを先輩に対しては隠すことなく伝えていた
のだ。
僕は吐き気を感じた。
「彼には何も話していません。メールのことも麻季のことも。今は様子見ですね。このま
ま彼と麻季がフェードアウトするならなかったことにしようと思ってます。でも、これ以
上二人の仲が縮まったら彼とは離婚します」
怜菜は冷静にそう言った。でも彼女の手は震えていた。
「できれば離婚はしたくないんです。妊娠しているので」
僕は絶句した。思わず視線が怜菜の腹部に向かってしまった。
「・・・・・・先輩はそのことを知っているのか」
自分の妻が妊娠しているのに他人の妻に独身を装っていつまでも待っていると言うよう
なクズなら、もうすることは一つしかない。
「いえ。まだ彼には伝えていません」
怜菜が寂しそうに笑った。「先輩はやっぱり麻季を許すんですか」
「わからない」
本当にわからなかった。やり直すと宣言した以上、普通の夫婦生活を送ることは僕の義
務だった。だから誘ってくる麻季を抱けなかったことは僕の責任かもしれない。でも、そ
のことを不倫の相手に、僕をこういう風にした原因者にしれっと相談している麻季の心理
は僕の想像の範囲を超えていた。
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