790:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/31(月) 23:52:34.18 ID:AQ0OypmRo
前に読ませてもらたメールよりも二人の距離が近づいていることが覗われた。もうこれ
は駄目かもしれない。このときになってようやく僕にも玲菜が先輩に対して不貞行為の証
拠を突き詰めなかったことが理解できてきた。実際にこの二人が僕や玲菜を捨てて一緒に
なる決断をするかは結果論であって、今はそんなことはどうでもいい。先輩と麻季が自分
たちの関係に価値を見出し、そのことをお互いに確認しあっていることが問題なのだ。
玲菜は最初からそのことだけを追求していた。だから先輩を責めなかったし麻季に対し
て先輩には自分という妻がいることを話したりもせずずっと耐えて待つことにしたのだ。
そして僕にもようやく理解できた。麻季が奈緒人と僕を愛していて、それゆえに麻季が
先輩と縁を切ることを僕は勝利条件だと考えていた。でもそうではないのだ。麻季と先輩
がお互いに求め合いながらも奈緒人や僕への未練のためにもう連絡も取らず会わないと決
めたとしても、それは何の解決にもなっていないことを。
そのことを僕はか弱い外見の玲菜に教わったのだ。
「また結城先輩につらい思いをさせたちゃてごめんなさい。まだ期限は来ていないと言っ
たけど、でも正直もう駄目かなって思ってます」
それまで微笑んでいた玲菜が泣き出した。
「・・・・・・僕もそう思う。これは互いに求め合っている悲劇の恋人同士の会話だもんね」
「わたしもそう思います。こういうことになるかなって思ってはいたけど、それが現実に
なるとすごく悲しくて寂しい。むしろ旦那のことを憎みたいのに、まだ未練が残っている
自分がとてもいや」
「先輩と離婚する?」
「はい。期限前だけどもう無理でしょう。旦那とは別れます。そして一人でお腹の子を育
てます。先輩は・・・・・・どうされるんですか」
僕は息を飲んだ。優柔不断な僕だけどもう逃げているわけにはいかないことは理解でき
ていた。
「君が先輩と別れるなら僕もそうするよ」
「え?」
玲菜が一瞬理解できないような表情を見せた。
「何言ってるんです? あたしと旦那が離婚したからといって、先輩が同じことをする必
要なんてないですよ。先輩がお子さんのために麻季と頑張ろうとしているならそれは立派
なことじゃないですか」
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