822:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/09(水) 23:15:29.68 ID:wSH5UfB0o
奈緒人と奈緒は泣きじゃくって僕に抱きついて離れなかった。何があったのか聞きたか
ったけど、妹に言われるまでもなく今は子どもを落ち着かせるのが優先だった。僕は大丈
夫だよとかそんな言葉しかかけられなかったけど、そう言いながら子どもたちの頭や背中
を撫でているうちに次第に二人は穏かな表情になって行った。いったいこれまで苦労して
育てたこの二人に何が起こったのだろう。そしてこの先僕の家庭はどうなってしまうのか。
子どもたちの様子に胸が痛んだ僕だけど、二人が僕に抱きついたまま寝てしまうと改めて
混沌とした境地に陥ってしまった。
「いったい何があったの? 麻季は無事なんだよな」
「どういう意味でお姉さんが無事って言っているのかわからないけど、まだ死んでいない
という意味なら無事みたいね」
妹が言った。
「・・・・・・どういう意味?」
「お兄ちゃんから電話をもらって児童相談所から子どもたちを引き取ってすぐにお姉さん
から電話があったからね」
「麻季は何て言ってたんだ」
僕は淡々と話す妹に詰め寄りたい気持を抑えて聞いた。それでも無意識に大きい声を出
してしまったらしい。
「子どもたちが起きちゃうでしょ。もっと声を抑えて」
「悪かったよ・・・・・・それであいつは何だって?」
「奈緒人君と奈緒ちゃんを返せって。電話に出たのはお父さんだけど、お父さんのことを
誘拐犯みたいに罵っていたらしいよ」
いったい何のだ。もともと麻季はうちの実家とは仲が良かった。僕の両親とも妹ともう
まく行っていたのに。
「それでお父さんはお兄ちゃんが帰るまでは孫は渡さないって言ったの。何があったのか
はわからないけど、自宅で何日も幼い子どもたちを放置するような人には子どもたちは渡
せないって」
「麻季と子どもたちに何があったんだ。おまえは何か知っているのか」
「お兄ちゃん、児童相談所に寄って来たんでしょ。そこでワーカーさんの話を聞いた?」
「うん」
「じゃあ、お兄ちゃんはあたしたちと同じことは知っているよ。あたしたちも児童相談所
の人から説明されたことしか知らないし。お姉さんが電話を切る前にお父さんが何があっ
たのか聞いたけど、お姉さんは答えずに電話を切っちゃったし」
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