過去ログ - ビッチ
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847:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:08:21.66 ID:by+6rqHIo

「そういやさ。唯は知らないだろうけど、昔引っ越す前に神山さんっていう家があって
さ」

「ああ。玲子ちゃんと理恵さんのとこでしょ」

 あっさりと妹は言った。

「・・・・・・おまえ、あの頃まだ生まれてなかっただろ。何で知っているの?」

「だって母親同士が仲良くて定期的に会ってたし、あたしもよくお母さんに連れて行かれ
たよ。あ、最近はあんまり会ってないけどさ。玲子ちゃんとは年も近いし仲いいよ。あと
理恵さんもよくその集まりに顔を出してたけど、いつもお兄ちゃんが今どうしているのか
聞いてたよ」

「え?」

「何だ。今日は理恵さんと会ってたんだ」

「いや、偶然なんだけど」

 僕は今日あったことを唯に話した。

「理恵さんの旦那さんが何年か前に事故死したこと聞いた?」

「事故って、いや事故死?」

「うん」

 では理恵は未亡人なのだ。育児を玲子さんに任せているというのはそういう意味だった
のか。

「いや。今日ほんの少しだけ世間話しただけなんで何も聞いてない」

「理恵さんのご主人って信号待ちで停車しているところを後ろから暴走してきた車に追突
されたんだって」

「・・・・・・そうなんだ」

「うん。理恵さんの旦那さんは即死だったって」

 僕は言葉を失った。さっき明るく再会を喜んでくれた理恵もいろいろ辛い目にあってい
るようだった。

「でも何か運命的な出会いだよね。理恵さんとメアドとか交換した? 幼馴染同士の久し
振りの再会だったんでしょ」
 唯が暗い話はもう終わりだとでも言うように微笑んで続けた。「お兄ちゃんも幼馴染と
再会してちょっとはドキドキしたでしょ?」

 最近の唯にはたまにこういう言動があった。麻季のことを忘れさせようとしているのか
もしれないけど、やたら僕に女性と親しくさせようとする。奈緒人と奈緒はあたしが面倒
看ているからお兄ちゃんは会社の女の子を誘ってデートしろとか。それは一度一緒にコン
サートに行ってくださいと言ってくれた編集部の若い女の子のことを話したときだった。

 彼女は単なる仕事上の部下であってそんな対象じゃないし、そもそも一緒に過ごす相手
なんかいなかったのだけど。


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