849:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/16(水) 23:12:10.22 ID:by+6rqHIo
「まあ、とにかくさ。理恵さんがお兄ちゃんに会いたいっていうなら明日くらいは付き合
ってあげなよ」
「今は子どもたちと少しでも一緒にいたいんだけどな」
唯はそれを聞いて再び微笑んだ。
「奈緒人と奈緒とはこの先ずっと一緒にいられるじゃん。今くらいはあたしに任せなよ。
二人ともあたしにすごく懐いているしお兄ちゃんなんて邪魔なだけだって」
「・・・・・・親権がどうなるかわからないんだし、ずっと子どもたちと一緒にいられる保障な
んてないだろ」
「絶対に麻季さんなんかに負けないって。それに親権が心配ならなおさら奥さん候補を探
す努力をしないと。お兄ちゃんがそうしてくれないとそれこそあたしがいつまでも子ども
たちの面倒を看るようになっちゃうじゃん」
「唯には悪いなって思っているよ。でも調停の結果とかに関係なくおまえは就職したら僕
たちのことは考えなくていいよ」
「だってこのままじゃお兄ちゃんが育児なんて無理じゃない」
「いざとなれば転職するよ」
「・・・・・・お兄ちゃん?」
唯が少しだけ首を傾げて真剣な表情をした。僕は妹のそういう様子に少しだけどきっと
した。
「何だよ・・・・・・」
「お兄ちゃんがそれでいいなら、あたし彼氏と別れてお兄ちゃんの奥さんになってあげよ
うか? その方が奈緒人と奈緒も喜ぶと思うし、お兄ちゃんも好きな仕事を続けられる
し」
何言ってるんだこいつ。僕は狼狽して唯を見た。
次の瞬間、唯は手で口を押さえて笑い出した。子どもたちや両親を起こさないようにし
たのだろう。
「何マジになってるのよ、シスコン。あたしが本当にお兄ちゃんのお嫁さんになるかもっ
て期待しちゃった?」
「そんなわけないだろ。冗談でも彼氏と別れるとか言うなよ」
「・・・・・・そこで赤くなるなバカ」
「おまえの顔も真っ赤なんだけど」
「バカ・・・・・・冗談に決まってるでしょ。とにかく明日は遅くなってもいいからね。麻季さ
んなんか早く忘れて理恵さんと楽しんできなよ。嫌いじゃないんでしょ? 理恵さんのこ
と」
どうなんだろう。子どもたちを麻季に奪われるかもしれないという不安が日ごとに大き
くなっている今、女性と付き合い出すとかは全く考えられなかった。
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