過去ログ - ビッチ
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926:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/05(火) 23:56:46.99 ID:eaEKmUkFo

「あたしさ。いろいろ努力はしたんだけど、結局、奈緒のことが好きになれなかったん
だ」

 麻季が言った。

 麻季にそういう感情もあるのではないかと考えたこともあったので、僕は思ったよりは
動揺しなかった。それでも仲が良かった頃の夫婦のような間合いで二人で過ごしている状
況で、薄く微笑みながらそういう言葉を口に出した麻季の様子に僕は少しショックを受け
た。

「もちろん奈緒には何の責任もないことなのよ。だから一生懸命頑張って笑顔で奈緒には
優しくしたんだけどね」

「・・・・・・・玲菜の娘だからか? でもそれなら何でわざわざ苦労して奈緒を引きとるなん
て言い出したんだ」

「・・・・・・あまり驚かないんのね」

「僕が不在のときの君の行動を知ってからは、君についてはもう何を聞かされても驚かな
くなったよ」

「博人君ひどい」

「君の口からそんな言葉を聞くとは思わなかったよ」

「確かに今は離婚調停中だけど、お互い別に嫌いになって別れるわけじゃないんだよ。会
っているときくらい前みたいに仲良くしたっていいじゃない」

「・・・・・・何言ってるの?」

「何って」

「僕たちがお互いにまだ愛し合っているとでもいいたいの」

「うん・・・・・・。あれ、違うの?」

 麻季は本気で戸惑ったようにきょとんとした顔をした。そして麻季の話はかつて僕が
ボーダーではないかと疑ったときのように支離滅裂になってしまっている。

 子どもたちの育児放棄。帰国したときに見た廃墟のようにゴミが散乱していた我が家。
太田弁護士から受け取った受任通知書。そして鈴木先輩と麻季の再婚。

 そのどこを取ったら僕への愛情が見られるというのだ。

「注いでくれる?」

 麻季がにっこり笑ってグラスを掲げた。


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