過去ログ - ビッチ
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938:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/07(木) 22:40:13.15 ID:1AQJe9pWo

 結城先輩のことはサークルの新勧コンパのときから気にはなっていた。あの夜、麻季は
先輩たちから途切れなく誘いの言葉をかけられたのだった。あのときは玲菜ともまだ仲良
くなる前だったから、麻季は話しかけてくる先輩たちの相手をしながらぼんやりと店内を
見回していたそのとき、一人の男の先輩と目があった。

 その人は麻季と目が合って狼狽したようだった。男のこういう反応には慣れていたから、
麻季はとりあえずその先輩に会釈した。

 ・・・・・・今度こそ先輩はさりげなく彼女から視線を外してしまい、隣にいる同回生らしい
女の子と喋り始めた。こちらから挨拶したにも関わらず無視されたことにも腹が立ったけ
ど、自分の会釈を完璧に無視して他の女と親しげに話し始めたことに麻季は何だか少しだ
けむしゃくしゃした気持になった。そんな彼女の様子に周囲に群がっていた先輩たちも不
審に思ったようだ。

「あの・・・・・・。あそこでお話している先輩は何という人ですか」

「ああ、あいつは二年の結城だよ」

「結城先輩ですか」

「夏目さん、あんなやつに興味あるの? あいつ変わり者だぜ。音大に入ったのにろくに
器楽もしないで、音楽史とか音楽理論とかだけ勉強してるんだ」

 その先輩は結城先輩の人となりをけなしながら解説してくれたけど、そのときの麻季の
耳にはそんな言葉はろくに届いていなかった。あまり格好いいとかスマートとかという印
象はない。でも、何だかそのときは結城先輩野ことが気になったのだ。

 どうせあの先輩もあたしのことが気になってるんだろうな。そう麻季は思った。でも冴
えなさそうな結城先輩は彼女に話しかける勇気がないのだろう。

 その後、結城先輩はあまりサークルに顔を出さなかったこともあって、彼と話をする機
会はなかった。その間に麻季は玲菜と知り合い仲良くなった。


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