939:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/07(木) 22:41:21.56 ID:1AQJe9pWo
それは麻季が玲菜と一緒に、階段教室で一般教養の美術史の講義に出席していたときだ
った。講義が始まってしばらくすると隣に座ってた男の人が麻季に出席票を回してくれた。
その人はそのまま席を立とうとしているようだった。
そのとき、麻季はその人が結城先輩であることに気がついて少し彼をからかってみよう
と考えたのだった。自分にからかわれて嬉しくない男も少ないだろうし。
「こんにちは結城先輩」
驚いたように結城先輩は席に座りなおした。出席票に目を落すと最後の欄に雑な字で結
城博人と書かれていた。博人さんというのか。
「ごめんなさい、わからないですよね。サークルの新歓コンパで先輩を見かけました。一
年の夏目といいます」
「知ってるよ。あそこで見かけたし・・・・・・でも何で僕の名前を?」
「先輩に教えてもらいました」
麻季はそう答えた。
「じゃあね」
その場の雰囲気を持て余したように先輩が中途半端に立ち上がりながら言った。
「講義聞かないんですか?」
「うん。出席も取ったしお腹も空いたし、サボって学食行くわ」
「結城先輩ってもっと真面目な人かと思ってました」
「・・・・・・そんなことないよ」
「でも先輩格好いいですね。年上の男の人の余裕を感じました」
「じゃあ、失礼します」
麻季はそう言って話を終らせたのだけど、その後に隣に座っていた玲菜が珍しく結城先
輩のことを聞き始めた。
「今の人ってサークルの結城先輩だよね」
「そうみたい」
「麻季、いつのまに先輩と知り合いになったの?」
「話したのは今が初めてだよ」
「嘘? 何で初対面の人にあんなに親しく話せるの」
「・・・・・・何でって別に」
「麻季って結城先輩のこと気になる?」
玲菜が麻季にそういう質問をするのは珍しかった。
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